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カートは空です

20年以上コーヒー産地を巡る生豆バイヤー兼ロースターに、焙煎についてインタビュー

BOOK your COFFEEの担当サンプル焙煎士として、よくある質問や考え方などについて話してもらいました!

□焙・・・焙煎士

□イ・・・インタビュアー

 

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イ)ニュークロップが到着し、各ロースターさんが試行錯誤されていると聞きます。焙煎についてはそれぞれ色んな考え方を持っていて、その方法も自由だとは思いますが運営側に寄せられる悩みや質問などを見ていくとなかなか簡単に、それも一概に言えないことが多いと思います。そこで今回、20年に渡り産地でのカッピング経験や輸出前のプレシップサンプルと日本でのニュークロップサンプル、パストクロップなどの違いを経験している中での、いち焙煎士の考えとしてお聞かせください。

焙)「ニュークロップで手こずっています」というロースターさんが多いようで、今年も現に数ロースターさんから焙煎について相談いただき、メッセージでのやり取りや実際に会って一緒に焙煎してみたりと、色々情報共有させていただきました。特にBYCで取引を始めた初年度なんかは、今まで商社さんや問屋さんの在庫から購入されていた方は特に、到着したばかりの青々とした鮮度抜群の「ニュークロップ」に、どうも特徴を出しきれないと戸惑われる方は多いようです。今までの常識がガラッと覆るので慣れるまでは大変だと思いますが、逆に言えば鮮度がよくて、更にはBYCで扱う農家さんのコーヒーのような高品質だと、素材に関しては言い訳できない状態なので、自分の焙煎スキルを上げれる絶好の機会とも言えます。

イ)ポテンシャルは計り知れないから、苦しいけど楽しくもありますね。では、今までロースターさんたちから相談いただいた中でどういう悩みが多いなっていう印象ですか?

焙)クリーンカップにならないだったり、フレーバーが出なくて悩んでいるというようなことをよく聞きます。生焼けのようだとか、クリーンカップに焼けたと思うけど、もっと味が出てもいいような気がするんだけど…と言われるわけです。まずその「クリーンに焼く」というのが難しいのでよく分かります。日本の深煎り文化に、急速に浅煎り文化が入ってきたわけですから、対応しきれているロースターの方が少ないのではないでしょうか。アンダーディベロップメントと言われる、カロリー不足による生焼けの浅煎りを提供されるお店も多く見受けられるのがその証拠です。ましてや周囲のロースターも同じようなアンダーのコーヒーを提供しているので、新規参入するロースターもこれが浅煎りと勘違いしてしまっても不思議ではありません。しかもこれは何も日本だけの事例ではなく、欧米、アジア圏のロースターでも数多く発生している状況のようです。どの焙煎度合いであったとしても、クリーンに美味しく焼けるに越したことはありませんから、トライアルアンドエラーを繰り返すしかありません。

アンダーディベロップメントを克服し、クリーンカップに焼けてもそこからフレーバーを出すのもまた次のチャレンジです。やはり前提として正確なカッピングスキルが必要だと思います。カッピングしていくことで、経験上から生まれる立体的な味の構造が想像できるので、何が足りていないのかが分かるようになります。

イ)確かに、そもそものポテンシャルを判断する基準がないとどこに線を引けばいいのか分からないですね。

焙)自分もそうですが、初めてのコーヒーに対してはポテンシャルが分からないので、まずクリーンカップに焼くっていうことを目指さないといけないと思っています。クリーンカップに焼くためには排気を開けても閉めても仕上がるのですが、そこにもカッピングによる理解が必要になります。さらにフレーバーを明確に出したいとなった時にプロファイル調整をしないといけませんが、調整する度にカッピングして次の調整をしなければいけません。焙煎する以前にカッピングの訓練をすることは肝心だと思います。判断基準を分からぬまま焙煎を繰り返しても、修正ポイントがわからないと堂々めぐりになってしまいますもんね

イ)そもそも自身は産地に行かれるのでポテンシャルは自分の中では明らかだと思います。この豆はどこまで出せるかっていうのを確認した上で試せるじゃないですか?でも商社とか、問屋とか、まあBYCからでも仕入れた側って、なかなか現物確認できるわけじゃないから、難しいですよね。

焙)問屋や商社は商売の性質上、一種類ずつショップロースターで焼く作業をする必要もありませんよね。そんなに大量に焼いていたらロースターになってしまいます。なので彼らはサンプル焙煎を主として品質の判断を行います。サンプル焙煎でも十分その豆のポテンシャルを図ることは可能です。でも、問題はその先のロースターがショップロースターを使って焙煎した時に立ち塞がる数々の美味しく焼けない焙煎の試練です。

BYCはロースター上がりが生豆を扱うので、同じコーヒーをショップロースターでも焙煎していますし、ホームページ上で販売もしているサンプルに至ってはサンプル焙煎を採用せず、圧倒的に時間のかかるプロファイル焙煎を採用し、なるべくショップロースターを使用した時に再現できるであろうレーバーを再現しています。ショップロースターを使用されている方々に分かりやすく味と品質をお伝えする為です。

2022年まではサンプル焙煎を採用していましたが、サンプル焙煎されたコーヒーをカッピングするには、その奥のポテンシャルを読み取る能力が必要となりますが、時間のないロースターさんにもプロファイル焙煎したサンプルの方が素直に味を感じ取っていただけるかと思い採用しました。

イ)やっぱり第1にカッピング、そしてクリーンカップそれからフレーバーやその他の特徴を出すっていう流れが基本なんですね。逆にそれがあればポテンシャルは分かりますよね?あとは自分の中でどういう味にしたいかっていうその人の考え方になるんですか?

焙)はい。あとはお店の好みの味作りになるかと思います。しかし、その素材の限界を知ってみたいというのはロースターなら誰しも思う感覚だと思いますので、実は味作りが出来るようになるには、まずそれぞれの生豆のポテンシャルをフルに開花させることができて、初めて行うものなのではと感じています。カッピングスキルは誰でも訓練で上達しますし、良質な生豆は入手先を選べば国内にいながら容易に手に入る時代入ってきました。焙煎技術も早く身につけなければ一層お客様に喜んでいただくことができません。どれひとつとしてむげにしてはいけないのかなと思うのです。特に価格で競争力のない小さなロースターは美味しさが特に強みもなりますから。

イ)先日、広島で焙煎勉強会をした時に、火力弱い時はエアー絞って、火力強い時はエアーを開くっていう、やり方をしていましたよね。よく巷で聞かれる排気の仕方とは異なりますが、それを皆さん実際に目で見て味覚で感じて、確かにこれはフレーバー出てるってなっていましたね。そういう刺激というか、新たなきっかけも大切だと思いました。

焙)誰しもが一人で葛藤していると必ず行き詰まるので何かしらのきっかけは必要かもしれません。今の状態から脱却するならまずは何をしたらいいのかと言えば、疑問が湧いたらその焙煎方法を検証し、必ず1個だけ変更点を加え試してみる。いわばABテストをひたすら繰り返すしか道はありません。人に聞いて理屈は分かっても参考にはなりますが、いまいち身にならないので。

イ)条件を変えるのは1個づつ…エスプレッソ抽出訓練と一緒ですね。原因をまず突き止めないと改善ができないですよね。あと従来のやり方からちょっと頭を離す必要がありそうですね

焙)そうなんです。きっと何でもそうかもしれませんが、柔軟な思考や考えが焙煎にも必要だと思います。

例えば、ダンパーを開ける、閉じるという動作ひとつとっても、ダンバーは窯出し前には開けた方が良いと信じている方にとって閉じるやり方はご自身の常識と逆の発想なのでなかなか受け入れがたいかもしれないですよね。そんなことしたら煙たくなるんじゃないか?、煙たさを良さと思っているの?、、など疑問はいくらでも出てくるかもしれませんが、私はわざわざ自分の理解に限界を作らなくても良いと思っています

これまで信じてきた方法よりも、更に美味しくなる焙煎方法があるかもしれないと探究心を持って進めた方が広がりがあって焙煎がより楽しいものとなるように感じています。もちろん焙煎に正解や不正解はないというご意見もあるかと思いますが、美味しくないコーヒーはお客様からして一目瞭然です。また美味しいコーヒーは万人に通じる魅力を持っていますよね。商売として焙煎するのであれば、自分の発想の枠を取り払って、様々な可能性を楽しむことが成功の近道かもしれません。コツコツやっていると競合に遅れをとっているように感じるかもしれませんが、急がば回れという言葉もありますし。

イ)とは言っても焙煎される方々で美味しく焼けなくて迷宮入りすると思うのですが、ロスも多くなってくるとやはり焦りますよね。

焙)それは焦ります。過去に私も納得いかず焼いた豆を何キロも廃棄してきましたが、お金は失うし、自信は無くなっていきそうになるしで、迷宮入りしたことが何度もありました。上手に焼けず廃棄してしまっていること、それを申し訳ないと思うことを生産者達に伝えたことがありました。でも返ってきた返事にとても救われました。それは納得いかない焙煎豆をお客様に販売して欲しくない。その失敗した味を私のコーヒーの味だとお客様に勘違いして欲しくない。だから失敗したなら販売しないで欲しい。我々も栽培に失敗した豆をあなたには販売しない」と。それはそうだ!と思いましたね。気持ちが軽くなりました。

でも迷わなくなるっていうのも成長が止まっちゃうってことなので私自身もやっと失敗こそしなくなりましたが、20年焼いててもいまだに試行錯誤の繰り返しです。ただ、ネットや本の情報とかを探しても答えは出ないのでとにかく繰り返しABテストをやるしかない。行き詰まったときに何かヒントを得たい気持ちはすごく分かります。今の焙煎に満足してるって方はいいですが、何か悶々とするところがあるから、みんないろいろ試行錯誤しますし、中にはうまくいったっていう例を、ネットなどに載せちゃう方もおられます。一つの事例としてはいいと思いますが、銘柄も焙煎機も環境も全く違う再現性のないものなので、初心者は参考までに…くらいにしておいた方がいい気がします。見る側からすると活字や映像で公に載せるからには何かちゃんとした信用やエビデンスがあるんだろうな、だから、こうやってやらないといけないんだな。と特に本当にビギナーの人たちにとっては、それがあたかも正論のように聞こえるところも少し怖いなと思ってしまいます。

イ)実際先日の焙煎勉強会では、悩みの多かった排気について特に語られていましたが、どういう反応でしたか?

焙)目から鱗だと言われました。プロファイルは全く同じですが、排気の仕方が真逆方法を2種類焼き、その場でカッピングしました。サンプルは結果が分かりやすいようにゲイシャ種で行いました。両方ともクリーンには焼けましたが、片方はフレーバーの出方や味の輪郭、奥行き等が分かりやすいレベルで明らかに良い結果が得られました

もう片方もクリーンに焼けたことで、1人で焼いていたら満足してしまうかもしれませんが、ここで満足してしまうと素材のポテンシャルを発揮できないで終わってしまいます。

イ)やっぱり劇的に良くなるってそのぐらいしないと、なかなか変わらないんですね。意外と勇気がいることかもしれないです。

焙)少し変化させても大きく変化させても、風味特性の発達にさほど差がないのであれば、その部分は根本的改善に繋がらない可能性は大きいので、別の箇所を大幅に改良してみる。その後改善が見られたら、小刻みに改良を加えていくと割と早く納得のいく焙煎に繋がりやすいかもしれませんね。ずっと小刻みに調整を加えていると、永遠に辿り着かない気がしてきてしまいますし。

イ)それで言うと去年一緒に産地に行かれたロースターさんとかは対応早かったですよね。産地で色々刺激を受けて、帰国後すぐに焼いてサンプル送ってくれて、フィードバックしてまたすぐ改善…みたいな。ゴールっていうのはないにしろ結局そうやって改良を繰り返して行動に移してるっていうところが確実に改良に向かうじゃないですか

焙)はい、ちょっとずつでも味の改善が見られれば、いろんな可能性見えるし今後の焙煎にとってプラスの面がちゃんとある。もっといい答えがあると思い続けられる探究心がある方が、
お客様が何より喜んでくださるという事を、帰国後改善する中で実感されてるのではないでしょうか。我々と産地に行くと自分のコーヒーを産地のカッパー達と一緒にカッピングするのですが、その時に焙煎の話にもなります。その後帰国してから改善が始まるので、お客様からお褒めの言葉をもらうと努力した甲斐が感じられると思います。

イ)では、一つの例としてなんですがご自身でされている焙煎方法をもう少し掘り下げて話してもらっていいですか?こちらがサンプル焙煎にも反映されているのでサンプル購入される方に前提としてお知らせしたいなと。

焙)先程の勉強会の例と被りますが、煎り止めの時は火力を絞った状態で釜出しすること。煙たくしたくないからとエアーを開け過ぎないこと。火力アップ時は排気アップ、火力ダウン時は排気ダウンで基本行います。これはコンロで手回し焙煎する際の上昇気流と同じ原理です。それがショップロースターになっても同じ理屈が通ります。どちらも美味しく焼けます。

やっぱりインターネットにいろんな情報が溢れていて何が正しい、正しくない、っていうのは一概に言いにくいんですが。そこを何か否定するつもりはさらさらないですし、私のやり方が味として好きじゃないっていう人もおられるかもしれませんが、それはそれで個人の好みですのでいいと思うんです。ただできれば好みではなく客観視した味作りが商売する上では大切なように感じます。ですので、サンプル販売用の生豆も、私の好みの味ではなく、一つ一つカッピングフォーム上でバランス重視で考えられたプロファイル焙煎を採用しています。

イ)ところでエアーの開き方を巷で溢れている方法と逆にしたらっていうのはどういう経緯なんですか?

焙)最初私は手回し焙煎機で焙煎をしていたんですが、ショップロースターのような複雑な機能もなければ、当然排気量の調整もないんですよ。オープンエアーですので調整も何もありません。これじゃー焙煎機のように美味しく焼けないだろうと思い込み、針金とアルミホイルで全体を覆うカバーを作って、熱で囲うようにしてた。少しでも業務用の焙煎機の仕様に近づける工夫してみたんだけど、逆にこもりすぎてもあまり意味ないなっていうのが分かったんです

イ)でも手回しだから、カバーを取ったり外したりできないですよね。

焙)そうなんです。だからこもりっぱなしも良くなかったので一定の空気が抜けるようカバーの上に煙が抜ける煙突を作りました。排気の機能はあるけど調整ができないっていう状態です。

でもエアーの調整は火加減に連動するから火力を上げれば上昇気流が強まってより抜けて行くんです。そんな経験を思い出しショップロースターやサンプルロースターに当てはめたら、同じ良い結果が出たというわけです。

イ)そっか。自然の摂理を利用したんですね。じゃあその方法でもある程度の検証は出来た…で、その後は何に行き詰まったんですか?

焙)手回しでもめちゃめちゃクリーンカップでフレーバーも豊かにもなる可能性がある。ただ、私は焙煎以前に徹底的にカッピングをトレーニングしていたので、当時味は取れるのに、焙煎が本当にそれで最善なのかどうかその時点では分からなかったんです。

イ)国際審査員とかもしてたから、自分の中で確固たる判断基準があるわけじゃないですか?カッピングができたら、結果(焙煎豆)に対して判断するだけのように思えるのですが…
結果的に美味しく焼けてたらいいわけだから、焙煎のハウツーって別に何も正解不正解ないんじゃないですか?

焙)もし「これで完璧!」ってなってたとしたら、その後発展性はないですよね。もっと美味しく焼けるんじゃないかって思うからまた迷う。迷って探求することは良いことだと思います。
なんでもハウツーを求めがちですが、大枠の流れというものはあると思います。そしてその大枠の流れをでは自分の焙煎機でどう当てはめていくかが、それぞれの腕の見せどころになるかと。

野球を上手くなりたい、料理を上手くなりたい、焙煎を上手くなりたい、何を上達させるにも場数と蓄積ではないかなと思います。センスなんかは考えずにひたすら経験の蓄積をした方が近い道かと思います。そういった一連の蓄積の間に大枠の流れが見えてきます。
例えば昔私はカッピング時に煙たさを気にする時期があったのですが、苦みがその表面に付いた煙からくる苦味なのか、中焦げしている苦味なのかが分からなかったんです。後々、経験値が増えてきて、その原因がアンダーデベロップで火が通ってないタイプの中焦げの味なんだってことが分かったんですけど。

それを理解する前は「もしかしたら空気がこもって焦げるかもしれないからダンパー開けよう」なんていう考えに陥ったんですよ。確かに焦げてるっていうのはもう火が行き過ぎたとしか思わないですよね。まさか火が通ってないと思わないから、そこで困った…迷宮入りです。

確かに、最後ダンパーを開けるっていう焙煎をしてる人が割と多いと思うんですよ。でも本当は閉めないといけなかった。サンプル焙煎というちっちゃい中では、そもそも煙がもくもく出る排気が弱い焙煎なのでエアーを開ける必要があったがそれでも開ける幅はほんの少しだけ。でも、普通のショップロースターは排気がもっと強いですし、良くも悪くも排気の調整が細かく出来ちゃう。しかもちょっと開けただけでワーっと空気が抜けますよね、ということは最後の味作りの段階で熱が生豆に当たりにくくなって、繊細な甘みなどが出しにくいってことにつながるわけです。

イ)この豆はもっとこんなフレーバーが出るって産地でカッピングし、ポテンシャルは分かってるから尚更美味しく焼きたいですよね。

焙)そうなんですよね!産地に行くということがどれだけ私の焙煎に影響したかは計り知れない。きっと昨年産地に同行したロースターの皆さんも産地でカッピングする豆のポテンシャルに驚かれたことだと思います。そしてもっと驚いたのはシンプルなサンプル焙煎機で非常にクリーンカップに、しかも風味豊かに焙煎できていることでしょう。現地の人たちって、来る日も来る日も何十サンプルも焙煎するんですよ。場数と蓄積が我々ショップで焙煎している人たちとは比べ物にならないわけです。相当クリーンカップで美味しく焼く。なんだこれ!!ってびっくりしますよ。

イ)前回産地に行かれたロースターさんみんな確かに驚いていましたもんね(笑)それって銘柄変わっても瞬時にプロファイル変えたり?でもサンプル焙煎だから全部焼き方一緒か・・・

焙)サンプル焙煎だからベースは一緒なんですけど、微調整はしてましたね。多分、豆の状態を見ながらその場で変えてるんでしょうね。経験値があるから予測もつきやすい。一遍通りのように見えて、ほんのちょこっとプロファイルっぽいことをしてるんだけど、その1個1個にあったプロファイルを0-100でやってるわけじゃないんです。

だから、産地でサンプル焙煎をカッピングするときは、カップする側が(実際に購入して自分がカッピングした時までも)推測・想像して評価しないといけない。ショップロースターで焼いたらどうなるのだろうかとか、収穫してから数ヶ月経った後にはどう変化しているかななど。。。産地に行く価値って、生産者さんとの信頼関係だったり生産現場の理解っていうのももちろんですが、自分の焙煎を見つめなおす大きなきっかけにもなりますし、仕入れの際に焙煎士として見るポイントが変わることは意義としてはかなり大きいと思ってます。

イ)産地に行かないにしても、焙煎技術のレベルアップっていうのはロースターさん誰しもが目指すところだと思います。よく「ある程度高い品質の豆を焙煎しないとなかなか焙煎技術は向上しない」と言いますが、まずはカッピングやクリーンカップなどの基本を抑えた上で、ポテンシャルの高いものでトライアルアンドエラーをするということが重要なんですね。

焙)だと私は思っています。開業当初問屋から仕入れていたレベルの豆では、いつまでも焙煎は上達しなかったと思います。変化させても変わり映えしないですから。しかし、本当に品質の高い生豆と向き合うと、バチっと焙煎があった時に発せられる香りや質感、バランスの良さやフレーバーの豊かさは癖になる喜びがありますし美味しい時と美味しくない時の差が激しいわけです。焙煎の練習をするにしても高品質な生豆は必須だと感じます。本当はBYC参加ロースターさんの焙煎所ひとつひとつ回って一緒にカッピングや焙煎をしながらお話を聞いたり情報を共有させてもらいたいくらいです。BYCは共同購入支援の取り組みをメインとしていますが、産地訪問を通しての勉強会や焙煎について、それを通じて商売のヒントなども共有するようにしていますし、優秀な生産者の方々とも直接やりとりできる透明性も持ち合わせています。スペシャルティコーヒーがロースターにとってより身近に感じるような取り組みをこれからも続けていきたいと思っています。